町会と作業所を繋ぐ 回覧板ケースの開発と製作(国勢調査2020からSDGs~リサイクルを通じた地域貢献~)

2021年度、おおむすび連絡会では、一般社団法人ヒューネットアカデミー(代表 勝又幸子さん)の国勢調査に要した物品を無駄にせず、有効活用するというプロジェクトに協力し、かつ、多くの仕事を共同受注案件として、受注しまし、作業はいまも継続しています。

そのような経緯があったので、この取り組みが、どのような取り組みだったのかということを、ヒューネットアカデミーの勝又代表に書いていただきました。

それが以下の記事です。

はじめに

大田区を中心とした就労継続支援B型事業所にご協力いただいて、令和2年国勢調査でつかったバックやバインダーのリメイクをしています。2021年7月、大田区の地域力応援基金(ステップアップ助成)の採択後、国勢調査用品の無償譲渡をうけて本格的にスタートしました。2021年12月末現在、バックをリメイクして作る回覧板ケース等は8団体から延べ650個の注文をいただいています。今は5事業所に縫製を1事業所にシルクスクリーン印刷を受注していただき、生産を始めています。

国勢調査用品を回覧板ケースにリメイク

国勢調査用品、アベノマスクと同じ、税金で作ったものです
私は公務員を早期退職した3年前から重度訪問介護者をしています。工賃改善がなかなか進まない実情をしるにつけ、なにかできないかと考えていました。令和2年国勢調査の調査員をやることになりました。全国で61万人の調査員が参加し、そのひとりひとりにバックやバインダーが配布されたのですが、国勢調査や総務省統計局と印刷されているものは、悪用を防ぐということで、すべて回収し焼却処分するというのです。アベノマスクと共通することですが、税金でつくったものを、いとも簡単に捨てるというのです。令和2年の調査は国勢調査100周年で、何度も調査員をやった方からきいた話しではバックは前回とは比較できないほどりっぱなものだそうです。2020年10月、SDGsの推進や二酸化炭素の排出削減をかかげる政府から、悪用を防ぐ手立てをして福祉目的で再利用してもよいという通知がでました。町会の総務をやっている経験から、回覧中に雨にぬれてダメになってしまう回覧板が多いことから、回覧板ケースをつくったら自治会の役にもたち、受注生産で事業所の確実な収入にもなるのではないかと考えました。

事業所にご協力いただいて5種類のリメイクモデルを作成

リメイク作業中

国勢調査や総務省の文字が見えなくなるように加工することが再利用の条件だったので、はじめアセトンという溶液で消すことを考えましたが、無害とはいえ化学薬品を使うのは、そこで働く人のことを考えるとよくないと判断しました。そのあとは、文字部分をカットしてどのように縫製するかの検討を、町会の意見もききながら大田区区内の2つの事業所モデルの製作を依頼しました。5つのモデルを作成した結果そのなかから2つを採用しました。それがこの2つです。プロトタイプ2とプロトタイプ5と呼んでいます。回覧板ケースについては、頒布価格は町会名入りで@700円でそのすべてを工賃として還元しています。

プロトタイプ2:モデル製作 大田区立くすのき園

プロトタイプ2:モデル製作 大田区立くすのき園

プロトタイプ5;モデル製作 特定非営利活動法人 樹林館

プロトタイプ5;モデル製作 特定非営利活動法人 樹林館

シルクスクリーンで町会名を印刷

大田区内にシルクスクリーン印刷をする事業所がなかったため、広く事業所を募りました。試作をおねがいした結果、福島県相馬市の「工房もくもく」が製作を受注してくださいました。
その後、大田区自治会連合会への働きかけもあり、続々と町会からの注文が入り、大田区内の縫製事業所ではすべての注文に対応できなくなりました。そこで、きょうされんや東京都セルプセンター、さらには関東11県(関東社会就労センター協議会)を通じても作業所さんにエントリーしていただきました。大田区内では、プロトタイプの開発に協力していただいた、くすのき園と樹林館が、大田区外では小平市のサングリーン、町田市のなないろ、安曇野市のイーリスなどが引き受けてくださっています。他に長野県・静岡県・埼玉県それぞれの事業所さんからエントリーをいただいています。
 バインダーのリユースについては、裏面の文字を、シールを貼ることで見えなくする方法で加工を大田区内の複数の事業所に依頼済みです。

今後の生産活動について

バックは、文字部分をカットして、上の部分をそのまま使うバックの提案もしています。
令和4年については、団体だけでなく、個人にむけたリメイク提案をしていきます。NPO法人PIPPOが運営する福祉専用のネットオンラインサイトへの参加を予定しています。

国勢調査バックのリメイクに関心がある事業所の連絡をお待ちしています。
連絡先:一般社団法人ヒューネットアカデミー
yukiko-katsumata(@)hnetacademy.org (メールを送るときにはカッコを外してください。) 電話&FAX 03-3739-5883
代表理事 勝又幸子